ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~


ポテチを口にいれては2リットルのサイダーを片手で持って飲む姿は昔から俺の女の子に対する幻想を打ち砕いてきた。

俺よりも、父さんよりも男らしい姿だ


いや、だからってみんながみんな姉ちゃんみたいなのじゃないだろうけどさ


「んで、可愛かったのになんで運勢は最悪なの?」

「や、その子すっげーモテてさぁ、親衛隊がいるんだけど」

「……朝陽くーん、夢でも見てるのかい? 一般人に親衛隊がいる?どこの世界?頭でも打ったの?」

「現実なんですけど、そのうえめちゃくちゃ健康体なんですけど」


ポテチを取る手が止まって、俺の顔をまじまじ見つめてくる姉ちゃん。はっきり言って、恐ろしい。

特に、滲んで広がってしまったであろう、アイラインの引いてある目元辺りが


俺の表情から嘘をついてないことをわかってくれたのか、驚きに変わっていく姉ちゃんの顔


「えっ、まじで? なんであんたそんな子に告白されてるの」

「いやぁ、俺もよくわからなくて……なんか困ってるところを助けたらしいんだけど」

「は? 朝陽が? ありえないありえない、それ本当に朝陽かよ」


若干失礼なことを言われてるような気がしなくもないが、本当に姉ちゃんの言う通りだ。


俺、自分で言うのもなんだけど、ヘタレなんだぞ。



だから、城ヶ崎さんが見たのは俺じゃないと思ってる。だって俺が助けるなんて、夏に雪が降るくらいありえない


……我ながらいい例えだ。


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