残業しないで帰りなさい!
白石さんは勢いよく身を乗り出した。
「なんでー?全然ありえなくないって!」
「だって……」
「久保田係長みたいなド派手な人と付き合ってた人が私のことなんか好きなわけがない、とか思っちゃったりしているわけですか?」
「ええっ?……えっと」
沢口さんがあんまり図星なことを言うから、びっくりして手を止めると、白石さんが急にでかい声を出した。
「あー!もーっ!そのウジウジした感じ?たまんないよー!」
見ると白石さんは両手で肩を抱いて、体をクネクネくねらせている。
白石さん、急に何言ってるんですか?だいたいそれは何の動きですか?いったい、どうしちゃったんですか?
「そういうくっつきそうでくっつかない時期ってドキドキしちゃうんですよねっ!私たち、周りで勝手にキュンキュンなんです!」
勝手にキュンキュンって……、沢口さんニヤニヤしすぎ!おかしいです!
「もうさ、早く付き合っちゃいなよー」
「いやいや、ダメですよ。このじりじりした感じがいいんじゃないですか!」
お二人とも、楽しんでますよね?めちゃめちゃ楽しんでいますよね?