残業しないで帰りなさい!

「君だから見せてるんだよ?」

「?」

「本当は自分でも、こんなバカみたいなことしてる自分に驚いてる。君のことが好きすぎて、俺だいぶバカになってるからさ。でも、君にはどんな俺も知ってほしいから、君には俺の全部を見せるよ」

急に真面目な顔……。真面目な顔をして甘い瞳をするは反則です。吸い込まれます。
でも、そんなことを言ってもらえて嬉しい。
私ももっともっと課長のことが知りたい。

課長はふっと微笑んだ。

「今度でかける時、行きたい所はある?」

私は首を振った。
即答です。恋愛初心者の私にはデートの行き先なんて、見当もつきません。

「じゃあさ、連れて行きたい所があるんだけどいいかな?」

「はい」

「どこに行くのかは当日のお楽しみ」

「?」

いったいどこへ行くのかな?

ドキドキしながら連絡先を交換して、待ち合わせの約束をした。

「戻ったらきっと質問攻めにされると思うけど、正直に堂々と答えていいからね。少なくとも俺はそうするつもりだから。君と俺は、社内恋愛中の恋人です」

課長はニッと笑うと私を指さした。
社内恋愛中の恋人……。
そんなの、なんかドキドキして頬が熱くなる。

「……課長は、私と付き合ってることが公になっても構わないんですか?」

「全然構わないよ。むしろ君と付き合ってなかったら、俺は壁ドン失敗したって指をさされて笑われるだけだからねえ」

あ、そんな話もありましたね。

もうなんか社内にバラされてるみたいだし、今さら隠すも何もないのかな?

うん!私も覚悟を決めよう。

私がうなずくと、課長も微笑んでうなずいた。
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