嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
イースターの昼食は見たことがないほど豪華なものになってしまった。
お肉を取り出した後の耐熱容器から野菜と肉汁を取り分け、肉汁には粒マスタードとワイン、生クリームを加えてソースを作った。
野菜を大皿に盛り付け、ナイフで薄く切ったお肉をそれぞれの皿に取り分けたら、上からソースをかけて出来上がり!
テーブルの真ん中に肉汁の滴る大きな塊肉と野菜の大皿を置き、お皿を並べて向かい合って座ったら、思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
「すっごい豪勢だね」
「はい。すごいことになっちゃいました」
「じゃあ、食べよ!いただきまーす!」
「いただきます」
お肉をぱくっと口に入れる隼人さんをじっと見守る。どうかな?うまくできた?
私が気になっていることに気が付いたのか、隼人さんはお肉を口に入れるとニコッと笑った。
「うん!うまい!臭みも全然ないし、柔らかくて本当にうまいよ」
「ほんとですか?良かった」
私も一口食べてみる。
あ!ホント!柔らかいし美味しい!でもちょっとニンニク入れすぎたかな?
「ニンニク、入れすぎちゃったかな」
独り言のようにつぶやいたのに、隼人さんはすぐに切り返してきた。
「だーかーらっ、雪菜も今日はそういうつもり、だからだろ?」
「もうっ!違います!」
「照れるな照れるな」
隼人さんがここまで夜のネタで引っ張るなんて珍しい。
……おかしい。あのプレゼントの中身、本当になんなのかしら。絶対に関係あると思う。
気にしつつも会社の話を聞いたりして楽しくお喋りしながら食べていたらあっという間に時間は過ぎ、お腹いっぱいになった。
「食べても食べても減らなーい。俺、もう食べられないよー」
「私ももう無理です」
「どうするの?まだまだ肉、すっごいたくさん残ってるじゃん」
確かに大きなお肉は減ることのないままテーブルの真ん中にドーンと鎮座している。まあ、食べきれないって予想していたから大丈夫。
「レベッカさんにはお肉が残ったらミートパイにしたり、トマトソースの中に入れても美味しいよって教えてもらったんです。まあ、なんとかなります、大丈夫!」
「へえ?ちゃんと考えてたんだ?」
「それはもちろん!家計を預かる主婦ですから」
「いいね、頼もしいね」
「はい」
私だってただ単に図太くなったわけじゃないんですよ?ちゃーんと主婦の知恵だって学んでいるのです。