嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 いつもより念入りに体を洗ってしまう自分にドキドキしてみたり。

 自分の髪のシャンプーの香りを確認してまたドキドキしたり。

 私もすっかり乗せられてしまっているようです。

 さてさて。着てみますか!

 ブラを持ち上げてマジマジと見る。

 うーん……。どうなんだろう。向こう側が透けて見えるって、どうなの?

 でも、せっかくのプレゼントだし、それに『恥ずかしい』なんて言ったら隼人さん、この間みたいに『恥ずかしくないようにしてあげる』なんて喜び勇んで言い出しかねない。

 あーもう、いいや!私も隼人さんみたいに爽やかな明るいエッチになろう。それはそれで楽しそうだし!

 変な覚悟を決めて、その下着を身につけてみた。

 生地は肌に吸い付くように滑らかで柔らかい。それにサイズもピッタリ!また花ちゃんの仕事ぶりに感動したりして。

 綺麗な刺繍が微妙な配置にあってうまく隠してくれているけれど、見えているようで見えないっていうのも、それはそれでなんかくすぐったい。

 自分でも恥ずかしくなって、スケスケ下着の上に急いでパジャマを羽織る。

 ドキドキ激しい鼓動を隠してベッドルームに戻ると、隼人さんは嬉しそうに「待っててね」と私の頭を撫でてシャワーに向かった。

 待ってて、なんてセリフにまた一人で勝手にドキドキして、ベッドの真ん中にペタンと座り込む。

 でも、猫背で座り込んだ自分の姿勢が、ふと昔の自分の落ち込んだ姿と重なった。

 そういえば私、セックスが嫌いだったんだ。

 瀬川さんのセックスは乱暴で痛くていつも嫌だった。瀬川さんは私が痛がる様子を見るのが好きだった。痛がり方が必死であればあるほど瀬川さんは喜んだ。

 それなのに、どんなに虐げられても孤独が怖くて、そんな彼でも繋ぎ止めておきたくて、私はいつも何も言わずにじっと我慢をしていた。

 そして彼が帰った後の静かな部屋で一人、ぼーっとベッドの上でこうして猫背で座り込んでいた。

 そんな私が今は、爽やかな明るいエッチになろう!なんてスケスケな下着を着ることを楽しみつつある。

 そういう部分も私、変わったな。

 こんなことでそんな風に思うのもなんだけど、隼人さんと出会えて私、本当に良かった。

 隼人さんに愛されて、私は多くの幸せや喜びを与えてもらった。私もあなたに何かを与えられている?私たちはお互いに与え合うことができているのかな?

 そんなことを考えていたら、隼人さんがシャワーから出てきた。
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