嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
「今日は下着を付けたまましてみたい」
意地悪くニタリと笑ってそんなことを言う。
それはそれでなんかダメ!ふるふると首を横に振る。
「これ、高価な生地だから、ダメ」
「なんでいい生地だとダメなんだよ」
「だって……」
「洗うの、大変になっちゃう?」
「……いじわる、言わないで」
「意地悪じゃないよ。それにしてもこのポーズ、いい眺めだなー」
私の両手の自由を奪ったままそんなにじろじろ見て、間違いなく意地悪してるじゃないですか!恥ずかしいから、見ないでほしいのに……。
「やだぁ」
「いいなあ、それ。もっと言って!今更恥ずかしがるなんてどうかと思ってたけど、恥ずかしがる雪菜はやっぱり可愛いな」
恥ずかしがるのをダメと言ってお仕置きしたと思えば、もっと恥ずかしがってと言ってみたり。
もう!どっちがいいの?
結局、その日は電気を消してもらえず。下着も引っかかったままで。
意地悪王子は悪行の限りを尽くして恥ずかしがる私をもっと攻め立て、羞恥心に震える私を思う存分堪能した。
でも、強く抱き締められて、熱い吐息の合間に何度も「雪菜、愛してる」って囁かれたら、身も心も、頭の先から指の先まで痺れてとろけて幸せで、意地悪王子の悪行はいつも通り許してしまったのでした。
まあ、いいのです。
本当は私も意地悪王子から攻められて恥ずかしがることを楽しんでいたし。
スケスケの下着をめぐって「恥ずかしがらせてやる!」「やだあ、恥ずかしい」なんてじゃれ合っている私たちって幸せなのでは?
子どもが欲しいと思うと、セックスは子どもを作るための行為なんだけれど。
でもそれだけじゃなくて、お互いに心を開いて体を交わして愛を確かめ合う行為だから、二人で一緒に堂々と楽しめているのなら、それは本当に幸せなことだと思う。
そういう意味では、私も爽やかなエッチに近づけたのかな?
しばらくして、下着を選んでくれた花ちゃんにお礼をしたくてランチに誘った。
終始ニヤニヤする花ちゃん。
「ありがとね、花ちゃん」
「いんや、いいんだよ!それより旦那さん、アレ気に入ったでしょ?」
「……うん」
「そうだろう、そうだろう!男ってヤツは単純じゃのー!にゃーはっはっは!」
勝ち誇ったように笑う花ちゃん。
花ちゃんの言う通り、隼人さんはあの下着がいたくお気に召したようで、何度も「アレ着てー」とじゃれついてきた。
でも、隼人さんの甘え方が爽やかだから、ついつい乗せられて何度も着てしまった私も私なのです。
スケスケな下着の効果か、はたまたイースターバニーが隠した贈り物か。
それからしばらくして季節が変わった頃、私のお腹に小さな命が宿ったことがわかったのでした。