嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
(3)日本人はやっぱり梅干し
うーん……。
気持ち悪い。起き上がれない。
これが噂のつわりなの?
妊娠したことがわかってから徐々に胸焼けみたいな症状が出始めた。そして妊娠10週目を迎えた今、私は非常にひどいつわりに苦しんでいる。
6月になって、いつもは順調にやってくる生理が遅れていたから「これはもしや?」と妊娠検査薬を買って調べてみた。
結果は陽性反応!
病院に行って診断をもらってから隼人さんに言うべきかちょっと迷ったけれど、結局、喜び勇んで反応の出た検査薬をすぐに隼人さんに見せてしまった。
隼人さんは私を抱き上げ、想像以上に喜んでくれた。あんな風に二人でキャアキャア大喜びできたのは、本当に嬉しくて幸せな瞬間。一生忘れられない瞬間だったと思う。
それから婦人科の病院を探した。私はある程度のドイツ語は喋れるけれど、難しい医療用語がわからないのは心配、と隼人さんが会社の人に聞いて、日本語通訳のいる病院を見つけてきてくれた。
「通訳さんなんてお金もかかるし、私もたいていのドイツ語は理解できるから大丈夫ですよ?」
「それでもさ、雪菜が安心して病院に行けるようにしたいんだよ」
隼人さんはそう言ってきかなかった。まあ、ちゃんとした病院だし、通訳さんがいるなんてとても安心だけど。隼人さん、ちょっと心配性?
それから予約をして病院に行ったら、なぜか「暇だから」と花ちゃんもついて来た。まあ、不安な待ち時間を楽しくお喋りして過ごせたから感謝している。
病院で紹介された通訳さん、恭子さんはドイツの方と結婚してこちらに永住しているらしい。優しそうな女性でひと安心。
緊張しつつ挑んだ最初の診察では、尿検査や血液検査をして、最後に超音波の検査をした。けれど、超音波ではまだ赤ちゃんの心拍が確実にはわからないと言われてしまった。
かなり不安……。
赤毛の女医さんに「病院に来るのが早すぎただけ!胎嚢は見えているから、次回はきっとわかるわよ!」と笑顔で元気よく言われたけれど。恭子さんも「よくあることだから気にしないで」と言ってくれたけれど。
やっぱり不安。
そんな私を元気づけようと、病院の帰り道、花ちゃんがお茶に誘ってくれた。