嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
あれから3週間ほどがたった今、妊娠10週目に入った私はひどいつわりに襲われている。
もう、気持ちが悪くてたまらない。
お腹の子どもも一緒にがんばっているに違いないって自分に言い聞かせてみてもかなり辛い。こんなにキツイなんて、子どもが欲しいと思っていた妊娠前には全然考えてもいなかった。
明るいうちは比較的調子がいいから、ゆっくりのんびり時間をかけて家事を終わらせる。
でも、どういうわけか夕方から夜にかけてだんだん具合が悪くなってしまう。
隼人さんが帰ってくるのを心待ちにしている私の心とは裏腹に、ちょうど隼人さんが帰ってくる時間帯に具合が悪くて起き上がれない。
心配をかけたくなくて無理に起きようするとますます気持ちが悪くなって横になることになってしまい、結局隼人さんに心配をかけてしてしまった。
優しい隼人さんは、夕食をとれない私のために、最近好物になったグレープフルーツやオレンジを買ってきてフルーツジュースを作ってくれるようになった。
あまり冷たい飲み物でお腹を冷やさない方がいいのだけれど、冷たくて甘酸っぱいフルーツジュースは飲みやすくて美味しくて、それに横になったままストローで飲ませてもらえるなんて甘えたことができるのも嬉しくて、口に含むだけで幸せな気持ちになった。
目を閉じて幸せの味を堪能していると、隼人さんがそっと頭を撫でてくれるからそれも気持ちよくて幸せで、いつの間にか胸の気持ち悪さも消えてウトウトして、気がついたら朝だったりする。
つわりに振り回されて消耗しつつ、それでも幸せな日々。
そんなある日、日本にいる隼人さんのお母さんから小包が届いた。隼人さんが私の状態をお母さんに伝えたらしい。
開けてみるとそこに入っていたのは……。
梅干し。
お味噌。
そうめん。
ああっ!
素敵!
日本食がいっぱい!
こういう物は基本的に日本食スーパーで手に入るけれど、日本仕様のパッケージを見ると懐かしくて嬉しくて、やっぱりこれだよね!って思ってしまう。