嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 横になったままの私と目が合うと、隼人さんは微笑んだ。

「起きたね。具合はどう?」

「はい、だいぶ良くなりました」

「そう。良かった」

 隼人さんは私の枕元に歩み寄ると、かがんで私の頬をそっと撫でた。

「少しは食べれそう?夕食、作ったんだ」

「……はい」

 夕食……。
 何を作ってくれたのかな?
 そんなに具合は悪くないけど、食べられるかな。

 でも、その前に。
 少しだけ隼人さんとお話ししたい。

 ゆっくりと腕を使って上半身を起こす。

「あの、隼人さん」

「ん?」

「私……」

 隼人さんは、私が話をしようとしているのを感じたらしく、ベッドに腰を掛けた。

「どうかした?」

 少しだけ息を吸った。

「さっき隼人さん、私のこと、自分の存在を軽視する傾向があるって言っていたから」

 私を見つめる隼人さんの瞳が揺れた。

「それはもう気にしなくていいよ」

「違うんです。私、気がついたんです。私は隼人さんの言う通り、無理をしてでも一人の方がマシって思っているところがあって、今回も当たり前のようにそう思っていたんです」

「うん」

 隼人さんはうなずいて、じっと私を見つめた。
 ちゃんと向き合って、私の話を聞こうとしてくれているのを感じる。

「でも、私が無理をしたら、お腹の赤ちゃんも無理をすることになるって、今さらだけど、気がついたんです」

「そっか」

 隼人さんの優しい瞳にうしろめたさを感じて、目を伏せた。
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