嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

「隼人さん」

「うん?」

「言ってくれて、ありがとう」

 微笑みかけたら、隼人さんも微笑んだ。

「いいんだよ。その代わり、俺が知らないうちに突っ走ってたら、雪菜も必ず言って」

「はい」

 うなずく私の頭を撫でる指先がくすぐったい。

「あのさ、お粥作ってみたんだ」

「え?」

 思わず、パッと顔を上げた。

「母親が梅干し送ってきただろ?あれ使って作ったんだ」

 梅干しのお粥なんて……。
 私の食欲がないから、食べやすいように工夫してくれたの?

 優しさが胸の奥にしみて、ほわっと温かくなる。
 隼人さんは、本当に優しくて素敵な旦那様。

「食べる?」

「はいっ、食べたいです」

 急に元気な声が出したら、隼人さんは嬉しそうに笑った。

「あははっ、良かった。……立てるかな?」

 手を借りて立ち上がったら、思いのほか体調は良かった。
 体調だけじゃなくて、心の中に前にも感じた爽やかな自由の風を感じた。

 そうだよね。
 私は私。
 私とお母さんは違う。
 私は、気負わず私らしい人生を送るの。

 うっかり忘れるところだった。
 思い出せたのは、隼人さんのおかげ。
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