嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
「もし、子どもが出来たら……雪菜を独占できなくなるから、ちょっと面白くないかも」
「えっ?」
隼人さん……、自分の子どもにまでヤキモチを妬いちゃうの?
「なんて言うのかな、もうちょっとだけ二人きりでいたいな、なんて思ったりもする」
でも、それはちょっとわかる。だって、まだ知り合って1年しか経ってないもの。
「それは、私も思います」
「そう?」
「はい」
隼人さんは私の腕を撫でた。チャポンとお湯に触れる音がする。
「それに、産むのは雪菜だからね。きっと体に負担だってかかるだろうし、それが少し怖いと思う気持ちもあるよ。だから、雪菜が欲しいと思った時でいいと思う」
「……はい」
そんな風に私の体を気遣ってくれるなんて、本当にこの人は優しい夫。こんな人に抱き締められているなんて、私は幸せ。
……せっかくそう思ったのに。
「だって、このお腹がどんどん大きくなるんだよ?」
そんなことを囁くように言いながら、隼人さんは私の脇腹からおへそにかけて指でスウッとなぞった。くすぐったくて、思わずビクッと動いてしまい、少しお湯が溢れた音が聞こえた。
「だ、だめですよ。動いたらお湯が溢れちゃう」
「雪菜が動かなければいいんだよ」
ええ?そんなの無理……。この人、やっぱり意地悪王子だ。
「あっ、だから、ダメですって」
ダメって言えば言うほど、追いかけるようにそっと触れてくる長い指。