嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 安定期に入ったということもあって、私たちは一度日本に戻って産科病院を探そう、と話していた。

 日本で出産するなら分娩予約を取らなければならないし、そのためには事前に一度診察を受けておく必要があるらしい。

 でも、日本に戻る理由はもう一つある。

 それは、ミノリちゃんの結婚式があるから。
 お相手はもちろん、あの体育会系の彼。

 少し前に結婚式の招待状はもらっていたけれど、招待状をもらった時はまだつわりが辛くて諦めていた。

 でも、つわりもすっかり落ち着いて体調も良いから、結婚式に出席して、産科受診も済ませてしまおう、と私たちは一週間だけ帰国する計画を立てた。

 隼人さんのお母さんに伝えたら、一時帰国をとても喜んでくれて、産科病院まで探して予約してくれた。

「ホントに大変だったのよ!予約とるの!わかってる?」

 大きな声でまくし立てるお母さんによると、日本では婦人科病院と産科病院は別れておらず、基本的に妊娠から出産まで同じ病院にかかるらしい。(ドイツでは、妊娠中と出産時は別の病院にかかることが多い)
 だから、里帰り出産の場合は、早く産科を探さないと分娩予約を取るのが大変、とのこと。

 伝えてから予約するまであっという間だったから、そんなに大変だったなんて知らなかったけれど、どうやらお母さんは色々と探し回った上、費用の半分を前金として支払ってくださったらしい。

 もちろん、「後で返してよね!」と隼人さんが言われていたけれど、本当にありがたい限り。
 いつも声が大きくて勢いに飲まれてしまうけれど、隼人さんのお母さんは本当に優しい人だと思う。
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