嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

「阿久津さんから聞いたんだ。雪菜がいじめられてるって」

「……えっ?」

「いじめられてるんなら、無理して行かなくても良かったのに。どうして言ってくれなかったんだよ」

「いじめられてる?」

 なにそれ?

 私がキョトンとして見上げたら、隼人さんはまばたきをした。

「雪菜……まさかとは思うけど、気がついてなかった?」

 私はあの婦人会的な何かのことを思い出していた。私だけが洗い物したり掃除したりしてたのって、そういうことだったの?

 私、いじめられてたの?全然気がつかなかった。一人はむしろ楽なんて思ったりして、本当に空気読めてない。

 でも!こんな年になっていじめも何もないと思うけど。バカバカしい!

「変なの!」

「え?」

 いきなり私が大きな声を出したから、隼人さんはびっくりしたみたいだった。

「こんな年になっていじめだなんて、変なの!バカみたい!それに、隼人さんも無視するなんてひどいです!」

 私はだんだん腹が立ってきた。もし、私がいじめられてるのなら、隼人さんには無視なんかしないで、優しくしてほしかった。

「……ごめん」

「世の中の全ての人から嫌われたって、私、全然気にならない。いじめられたって全然気にならない。でも、隼人さんから嫌われたら一瞬で死んじゃうんだから!」

 また、ぽろぽろ涙が落ちてきた。それを見て隼人さんは焦ってまた私を強く抱き締めた。

「ごめん、雪菜。ごめん。雪菜がいじめられたのは俺のせいだから。てっきり雪菜は俺の仕事に影響するとか勝手に気を遣って、我慢してるのかと思ったんだよ」

「?」

 なぜ私がいじめられるのが隼人さんのせいなんだろう。
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