嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

「雪菜って幸薄そうだし、苛められてるのに気が付かなかったりして、なんか世間とズレてるじゃない?一言で言うと、変わってるよね?だから、同じ匂いを感じたんだと思う。アタシもちょっと変わってるからさ」

 幸薄そう……、世間とズレてる……、変わってる……。立て続けにいろいろと言われてしまった。

 でも、その通りかもしれない。私ってやっぱりちょっとズレてると思う。

 花ちゃんの感じた同じ匂い。

 ダメ男好きに関してはちょっと異論があるけれど、もしかしたら花ちゃんが私に感じている匂いとやらは、暴力をふるわれてたって部分なんじゃないのかな。

 花ちゃんは男の人から、私がお母さんから叩かれてた。それをなんとなく感じ取った?

 でも、だとしたら花ちゃん、阿久津課長って大丈夫なの?まさか、殴られたりしてない?

「花ちゃん、阿久津課長は平気?」

「平気って?」

「その……、殴ったりしない?」

「うん!それは大丈夫!阿久津はね、唯一仕事を辞めなかったし、殴らなかった男なんだ」

 花ちゃんはニコッと笑った。そうなんだ、それなら良かった。

「じゃあ、阿久津課長はダメ男じゃないね?」

「んー、今はね。でも、最初はいろいろあったんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ!女にもお金にもいい加減で」

「ええっ?」

 それはちょっと意外!阿久津課長ってそんな風には見えなかったけど。

「阿久津は最初すごく熱心だったから、全然好みのタイプじゃなかったんだけど、とりあえず付き合うことにしたんだ」

「ふーん」

 花ちゃん、好みのタイプじゃなくても、とりあえずお付き合いするのね?

「それなのに、付き合う内にだんだんアタシが重くなってきたみたいでさ、アタシのこといい加減に扱うようになってね、返しもしないくせにお金貸してとか、他の女の子と会ったりとかして、冷たくなっていったの」

 確かにそれはダメ男かも……。
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