嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
「ちょうどその頃、すっごい年上のオジサンから言い寄られてたのもあって、もう阿久津はいいやって、私から別れるって離れたんだ」
「そうだったんだ」
「うん。でも離れたら、阿久津が追いかけてきて、覚悟を決めたからって行かないでくれってすがり付いてきたの。アタシ、自分がすがり付くことはあっても、すがり付かれたことってなかったから、鷲掴みにされちゃってさ。流されてそのまま付き合うことになったんだけど、本当に阿久津は心を入れ換えたみたいに変わったんだよ」
「阿久津課長、本当に花ちゃんのことが好きなんだね」
「エヘヘ、まあねー」
嬉しそうにころころと笑う花ちゃん。花ちゃんも阿久津課長のこと、大好きだよね?
「あっ、でね、何が言いたいのかって言うと、阿久津がアタシの好みのタイプじゃなかったから、良かったのかなって思ったの」
あ、ダメ男好きの話?
「つまり、花ちゃんの好きなタイプはダメ男だから、好きなタイプじゃない阿久津課長はダメ男じゃなかったってこと?」
「そうそう。ちょっとダメ男だったけど、ダメ男じゃなくなったから。雪菜も旦那さんは好みのタイプじゃなかった?」
好みのタイプ?タイプも何も、とにかく好きになってしまって、そんなこと考えたこともなかったけど。それでも、お答えしましょう。
「好みのタイプ!」
「あれー?そっかあ」
花ちゃん、まだ私がダメ男好きってこと、諦めていないのね?
「あのね花ちゃん、花ちゃんが私に感じた同じ匂いってダメ男好きの匂いじゃないと思う」
「んー?じゃあ、何?」
「花ちゃん、彼氏が殴るようになるって言ってたでしょ?私もお母さんに叩かれてたから、そこなんじゃないのかな?」
花ちゃんは目を大きくして、すごく驚いた顔をした。