嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

「ほーほー、そっかそっか。なるほどねー」

 花ちゃん、わかってくれた?私がダメ男好きじゃないってこと。

「そっちか。アタシも親父が酷かったからさ」

 あれ?

「酷かった?」

「うん、雪菜はお母さんなんだ?アタシは親父が殴る蹴るでさあ、ホント酷かったんだ。だから、すぐ家から出ちゃってさあ。……でも、そっか。それで同じ匂いねえ、そういうのってあるかもねー」

 花ちゃん、暴力って彼氏だけじゃなかったんだ……。お父さんから……?

 こんな日本から離れた場所で同じ境遇の人に出会うなんて思わなかった。

 でも、それなら私、花ちゃんに聞いてみたいことがある。

「花ちゃん……、変なこと聞いてもいい?」

「変なことー?ダメー!……なーんてね、なあに?」

「花ちゃん、子ども作るの、怖くなかった?」

 私、怖いの。自分自身に得体の知れない怖さを感じるの。お母さんと同じことしちゃうんじゃないかって、怖いの。

「怖いも何も、アタシ出来ちゃった婚だからなあ。でも、怖くはなかったよ。むしろ、阿久津がまた離れていくのが怖くて、妊娠したってわかった時はやった!って思った。それに、阿久津も喜んでくれたしねー。まあ、阿久津の影響もあるのかな?」

「阿久津課長の影響?」

「うん。阿久津の親って厳格な感じでさ、アタシとの結婚にすっごい反対して、アタシの素性とかみんな調べあげたんだよ」

「えっ?そうなの?」

「うん。でねっ、阿久津の母親がね『親に殴られて育った子って、暴力が当たり前になるってテレビでもよく言ってるじゃない?この子も同じよ!子どもなんて産ませちゃダメ』って言ったの」

「そんな酷いこと……」

 そんなの、酷い!よく花ちゃん、そんな状況で阿久津課長と結婚したね?でも、妊娠してたのか……。やっぱり頑張って結婚するよね?
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