嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
「今日、花ちゃんと会ったんです」
「うん。会うって言ってたよね?」
「それで、えっと、楽しかったなって……」
隼人さんは目を細めた。そうですよね?今の私の話、だんだん声が小さくなって、なんか変でしたよね?自分でも変だと思ったもの。
「喧嘩でもした?」
「ち、違います。そうじゃなくて……」
「そうじゃなくて?」
隼人さん、まだ目を細めている。隠し事をしているわけじゃないの。ただ、どう話したらいいのかわからないだけなの。
「今日花ちゃんに、雪菜はきっといいお母さんになるよって言われたんです」
「……うん」
「それがとっても嬉しかったんです」
隼人さんは困ったように微笑んで、私の手を両手で優しく包んだ。
「良かったじゃん」
「でも、私……」
そこで言葉に詰まってしまって、一度大きく息を吸った。隼人さんはじっと私を見ている。
その優しい瞳は、急がなくていいよって言っているような気がした。
「でも私、……怖いんです」
「何が?」
「その……同じことしちゃうんじゃないかなって」
「同じこと?」
「……お母さんと、同じこと……」
隼人さんは左手で私の手を握ったまま、右手を伸ばして、私の頬にそっと触れた。
「叩いたりするんじゃないかってこと?」
少し躊躇してからうなずく。
「俺が子ども欲しい?なんて聞いたから、いろいろ考えて悩んじゃったのかな?前にも言ったけど、雪菜は暴力的な人じゃないよ。今だって、優しいからこそ、そうやって悩んでるんだと思う」
「……」
そう言ってくれるとは思ってた。でも、なんだろう。漠然と不安なの。それをうまく言葉で表現できない。