嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 付け合わせはじゃがいもだけでなく、酢漬けにした野菜のピクルスもよく使う。レベッカさんが取り出したキュウリのピクルスの大きさにはちょっと驚いた。

 ちなみにザワークラウト(酸っぱいキャベツの漬け物)は酢漬けではない。日本にいた時は千切りキャベツの酢漬けだと思っていたけれど、そうではなくて発酵して酸っぱくなる。

 ただ、出来上がるのに1週間くらいかかるから、早く作って簡単に食べたい時は酢を使っても別にいいわよー、とレベッカさんは適当な口調で言っていた。

 それにザワークラウトは玉ねぎやハーブと混ぜたりして味付けをする。

 私も花ちゃんも、ドイツのザワークラウトはあまりに酸っぱすぎて、味付けをしてマイルドにしないと食べられない。

 レベッカさんは「ザワークラウトはそれぞれ家庭で味付けも作り方も違うのよ」と言っていた。お母さんの味、日本で言うところの味噌汁とか卵焼きのようなものだろうか。

 レベッカさんは心も体も大きい人で、よく食べてよく笑ってよく喋る。そして何より家族をとても愛している。レベッカさんにはいろんな料理を教わった。

 ドイツ料理は想像していた通り、肉、特にヴルスト(ソーセージ)をよく使うけれど、ハンブルクは海沿いのせいか魚料理も多い。特にニシンをよく食べる気がする。

 マチェスというニシンの塩漬け、ロールモプスという酢漬けのニシン巻き、揚げニシンのマリネ。ニシンの他にもカレイのソテーや鰻のスープなんかも食べる。

 ハンブルクの名物料理も教わった。ラプスカウスという料理でニシンと牛肉、じゃがいも、玉ねぎを炒めて煮て、目玉焼きを添える。

 もともと船乗り料理らしいけれど、とにかく全ての材料をごちゃごちゃに混ぜ合わせた豪快な料理だった。

 花ちゃんはこの料理が気に入ったらしい。混ぜるだけってところに惹かれたんだと思う。この料理の時だけは私のノートを見せてと言ってきた。花ちゃん、他の料理は覚えなくていいのかな?
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