嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
私が泣いてしまったのを見ると、レベッカさんは驚いた顔をして「あらあら」と手ぬぐいで手を拭きながら歩み寄ってきた。
「たいへん、雪菜を泣かせちゃったわ」
レベッカさんはそう言いながら、私を抱き締めてくれた。
「ごめんなさい、レベッカさん。私、嬉しかったんです」
「いいのよ、雪菜」
心も体も大きなレベッカさん。おおらかでみんなのお母さんのような人。ドイツ人って堅物だと思ってたけど、ドイツの人だっていろいろだよね?
レベッカさんに抱き締められたら、その体の弾力に安心して心が癒された。
レベッカさんにはとても感謝している。私はそのまま存在していいのかもしれない。でもそれは、隼人さんやレベッカさんをはじめ、私の周りにいるたくさんの優しい人たちに支えられているからなんだろう。
帰り道、花ちゃんが心配そうに聞いてきた。
「雪菜、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「どうして泣いちゃったの?」
「レベッカさんがね、そのままの雪菜をなんとなくわかってるから、なんとなくそのままここにいていいのよって言ってくれたのが嬉しかったの」
「あー、そういう会話だったのかー。あれってなんとなくここにいていいって言ってたのね。なるほどー」
そう言って花ちゃんはニヤッと笑った。
「なんとなくって適当ってことだよね?やっぱり適当って大事だよね!」
「うん!そうだね」
ふふっと二人で笑った。
言葉にするのも大事だけれど、適当も大事。私はそのままでここにいてもいいのかもしれない。
理屈じゃなくて、自分を信じて、なんとなく適当に存在するのも悪くないって思えてきた。