嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 ドイツに限らず西欧の習慣なのかもしれないけれど、ドイツでは11月末からクリスマスイブまでの4週間くらいの期間をアドベントと言う。アドベントは、日本ではあまり馴染みのない習慣だと思う。

 アドベント期間には、ろうそくを4本立てたアドベントリースを飾り、日曜日になると1本ずつろうそくに火を灯したり、各家庭で手作りのアドベントカレンダーを作って、子どもが毎日めくって楽しめるようにしたりする。

 キリスト教に則った習慣だと思うけれど、キリスト教がよくわからない私には、アドベントとはクリスマスを指折り数えて楽しみにする期間だと感じた。

 アドベント期間にはシュトレンというドライフルーツやナッツが入った菓子パンを少しずつ切って食べる習慣がある。

 レベッカさんに教わったシュトレンは、表面に真っ白な粉砂糖をまぶした、ずっしりぎっしりな焼き菓子だった。

 隼人さんと私の二人には大きすぎて、食べても食べてもなかなか減らない……。花ちゃんの家では子どもたちがあっという間に食べてしまったと聞いて、うちの残ったシュトレンも全部食べてもらった。

 こういう今まで全く知らなかった文化に触れると、外国に来てるんだって実感して、面白さを感じる。

 12月になると、レベッカさんはクリスマスのためにレープクーヘンという焼き菓子の作り方を教えてくれた。

 レープクーヘンは蜂蜜やオレンジの皮、香辛料を入れた型抜きクッキーに似た焼き菓子で、クリスマスの飾り付けに使う。

 お菓子をツリーの飾り付けに使うなんて、聞いた時は驚いてしまった。もちろん、飾り付け用のお菓子だけれど、ちゃんと食べることもできる。

 レープクーヘンにはいろんな香辛料を使う。アニス(八角に似た香り)、生姜、クローブ、コリアンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン……。いろんな香辛料が入っているから、独特な香りがする。

 ドイツではクッキーにもいろんな香辛料が入っていて、市販のクッキーはかなり独特な香りがする。市販のクッキーの香りは、私はちょっと苦手。
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