嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
「そんなに緊張しなくてもいいのに」
「でもっ!『ホームパーティー』ですよ?」
「あはは、大丈夫だよ。こっちではよくあることみたいだし。そんなに緊張して、なんか初めて俺の実家に連れて行った時みたいだね」
そういえば、そうでした……。
私は初めて隼人さんのご実家に伺う前も、口から心臓が出てしまいそうなくらい緊張したのでした。行ってみたらみなさん優しくてすぐに打ち解けられたけど。
同じ感じ?いやいや、ホームパーティーなんて開く家は、きっと白い巨大なお家で大きなお庭にブランコがあって犬とかいて、お外でバーベキューとかしちゃうに違いない。
そんな悶々とする私に隼人さんが近づいてきて、そっと腰に触れたから驚いて見上げた。
「こんな服持ってた?ずいぶん大人っぽい服だね」
そう、濃紺のサテンのワンピースにカーディガンを羽織って、少し大人っぽい雰囲気を意識してみたんだけど。
無表情で見下ろす隼人さん。やっぱり似合わないかな……。
「お肉屋さんで高校生と間違えられたから、少しは大人っぽくした方がいいのかなって思って……」
「まあ、彼らから見ると日本人は若く見えるみたいだからね。でも、それにしてもねえ」
隼人さんが目を細めて含みのある言い方をするから、似合わないと思っていた気持ちに拍車がかかって不安になる。
「やっぱり……、似合わないですか?」
「違う!すごく似合ってる。他の男に見せたくないだけ」
「……」
相変わらず独占欲の強い隼人さん。
「まあ、いいよ。夜帰ってから他の男に見られた分を取り返すだけだから」
そんなことを言われて腰から抱き寄せられたら、毎日一緒にいるのにドキドキしてしまう。夜は意地悪王子、ですか?
軽くチュッとキスを落とされて、またドキドキする。
いつもは素敵な王子様だけど、時々出てくる意地悪王子も健在で。私は翻弄されるばかり。