嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
でも私、まだ子どもだった。
お母さんに「産まなきゃ良かった」とか「人と関わるな」なんて言われたら、正面から本気で受け取ってしまうし、叩かれたら自分が悪いと思ってしまう。
お母さんは私がどう思うのかなんて、全然考えてなかった。お母さん、自分が何をしても何を言っても私は壊れないし、いなくならないって思ってたんじゃないの?
そういう風に何をしても許されると思って、お母さんは私に甘えていたの?
だから、お母さんは私が東京に行こうとしたら驚いて「行かないで」なんて言い出したのかもしれない。だって、私がそんなことを言うわけがないって思ってたんでしょ?
お母さん、私がいて当たり前だと思ってた?つまり、お母さんは私にいなくならないでほしいと思っていた?
それは私を必要としていたということ?私に甘えていたのは家族として私を必要としていたから?
それは、私を愛していたということ?
……うーん、いや。それはちょっと違う気がする。
それは愛していたというより、利用していたとか依存していたっていう方がニュアンスとしてあっている気がする。依存というか、子どもは自分の所有物だから好きにして当たり前、みたいな感覚。
あっ。
……そっか。
これかもしれない。
私が怖いと思っているのは、この感覚かもしれない。
自分でも気が付かないうちに子どもを自分の所有物のように思ってしまうのではないか。自分の思い通りにならなかったら許せないと思ってしまうのではないか。
……そして、叩いてしまうのではないか。
なるほどね。そう繋がるんだ。
少し仕組みがわかったような気がする。これが全てじゃないと思うけど、わけのわからなかったお母さんの行動に、わずかでも理由を見つけられた気がする。
なんだろう、この気持ち。ふわっと体が軽くなったような気持ち。
もしかしたら、もやもやと理解できなかったことの霧が少しだけ晴れてきたのかもしれない。