嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
ドキドキしながら伺ったホームパーティーは、私が妄想していたよりずっと小規模でアットホームで、本当に実家みたいな雰囲気だった。
マンションだし、庭もなければ犬もおらず、当然バーベキューもない。考え過ぎというか、ちょっと妄想しすぎたのかも。
ドイツ人の重役シュルツさんはとても陽気な人で、「松田君の冷たい雰囲気が困るんだ!こんなかわいらしい奥さんがいるなら、会社でももっと優しくしてほしいね!」とガンガン話しかけてきた。
シュルツさんは背が高くてお腹周りが立派。じっと観察していたら、シュルツさんが何かの冗談を言って大げさに笑った。
ドイツ語を聞き取るので精一杯な私には冗談の意味がよくわからなかったけど、「同じ穴のムジナ」的な冗談?夫婦揃って冷たい感じってこと?それって、冗談……?
パーティーではたくさんのドイツ料理を振る舞っていただいたけれど、全てシュルツさんの奥様のレベッカさんの手作りと聞いて驚いてしまった。
私だったら、パーティーを開くなんて準備が大変そう、なんて気が重くなってしまうけれど、レベッカさんは「みんなで集まるの、楽しいでしょ?」とすごく軽い感じで、義務で開いているのではなく、やりたくてやっている印象を受けた。
うーん、お国柄の違いなのか、それともただ単にそういう人なのかな……。
でも、せっかくドイツに来たんだから、こんな料理が作れるようになりたい。少しはレパートリーを増やしたいな。
せめて味だけでも覚えていこう。でも香辛料が独特……。簡単に真似できそうにないかも。
そんなことを考えながら食べることに夢中になっている時に紹介されたのが、斉藤支部長夫妻と阿久津課長夫妻だった。