嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
クリスマスイブ、シュルツさん夫妻に招待されたクリスマスパーティーは、子どもたちも一緒に参加する賑やかなパーティーだった。
今日は花ちゃんの子どもたちも一緒に来ている。子どもにとっては少し遅い時間のパーティーだから、とてもはしゃいでいる様子。
「雪菜ちゃーん!こんばんはー!」
「こんばんは」
元気に挨拶をしてくれたお姉ちゃんの彩花ちゃんは、花ちゃんにそっくりな美人さんで、とてもしっかりしている女の子。
お姉ちゃんの後ろに隠れてモジモジしている陸斗くんは、ちょっと臆病な男の子。見た目は阿久津課長にそっくり。
男の子はお母さん似、女の子はお父さん似、なんて言うけれど、花ちゃんのところはその逆のようだ。
子どもは初めて会う相手でもすぐに仲良くなるらしく、いろんな人種の子どもたちがキャアキャアと元気いっぱいに走り回っている。
ドイツではツリーの下にみんなで持ち寄ったクリスマスプレゼントを置く。ツリーの下にラッピングされた小さな箱がたくさん重なる光景はとても可愛らしい。
私たちも一つずつプレゼントを置いた。
私のプレゼントの中身はガラスの文鎮。ガラスの中に綺麗なお花が入っていて魅力的だったから。でも、ちょっと女の子向きだったかな。
隼人さんは何にしたんだろう。秘密、とか言って教えてくれなかった。私がもらうわけじゃないんだから、教えてくれたっていいのに。
室内がザワザワしたから振り返ると、シュルツさんが赤い服に白い髭のサンタクロース姿で「やあやあ、みんな!調子はどうだい?」と陽気に部屋に入って来た。
シュルツさん、適役!すごく似合ってる!
その後ろには、黒いマントを頭から被った影みたいな従者を連れている。誰が役に扮しているのかな?なんかちょっと怖い雰囲気。
サンタクロースの従者『クネヒト・ループレヒト』はドイツの独特な風習で、悪い子を懲らしめる存在らしい。
悪い子を懲らしめるなんて、日本でいうところの『なまはげ』みたいなものだろうか。でも、クネヒト・ループレヒトはとても静かな影のような存在で、なまはげのような勢いも積極性も見られない。
いや、むしろこんなに暗くて静かな黒いマントの男に突然追いかけられて懲らしめられたりしたら、子どもはものすごく怖いだろうから、効果は絶大なのかもしれない。