嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 隼人さんはじっと私を見つめて、少し心配そうな顔をした。

「無理してない?」

 こくりとうなずく。

「雪菜、怖くはないの?」

「はい……」

 確かに以前は怖かった。でも、私とお母さんは違うってわかった。私は私だから。

 だからもう怖くない。

 それに、私、愛する隼人さんの子どもが欲しいって思ったの……。

「私……、今まで自分のことばっかり考えていました。自分と子どもの関係にばかり目がいってしまって……。でも、今さら気が付くのもおかしいんですけど、私の子どもは隼人さんの子どもでもあるんだって思ったら、急にすごくすごく欲しいって思ったんです。……自分勝手ですけど、でも……、愛する人の、隼人さんの子どもが欲しいって思ったんです」

 隼人さんはしばらく何も言わずに優しい瞳で見つめていた。大きな手がそっと頬を包む。

「……ヤバいね」

「?」

「俺も愛する雪菜に俺の子を産んでほしい」

 ……その言葉、胸がキュッとする。隼人さんがヤバいって言った理由がわかった気がした。

 チュッと軽くキスを落としてから、隼人さんは首を傾げて見つめた。

「本当にいいの?」

「……はい」

「じゃあ、本当にしちゃうよ?」

 私はうなずいた。

 避妊をしないでする初めてのセックス。やっぱりドキドキする。今まであんまり考えていなかったけど、これって子どもを作る行為なんだよね?

 だから、最初はなんだか緊張してぎこちなくなってしまった。子どもを作るためにしてるんだって変に意識しちゃって。

 でも、隼人さんは気にする様子もなくいつも通りで、すごく愛されているのを感じて、抱き締められて気持ち良くて、夢中になって朦朧として、いつの間にか私のごちゃごちゃした余計な思考は解けてほどけて消えていった。
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