嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
私の中に入ってきたら、隼人さんは「いつもと全然違う」と何度も言い始めた。
そんなに?……私には違いがよくわからない。ちょっとは違う気がしないでもないけど、男の人ってそんなに違う感じがするのかな?
私、もしかして鈍感なのかな?
私がちょっと困った表情で見上げたら、隼人さんは少しふてくされた顔をした。
「……雪菜は、初めてじゃないもんね」
「?」
何のことを言ってるんだろう?初めてじゃないって??
……?
……えっ?やだ……、もしかして。
隼人さん、瀬川さんのことを言ってるの?
私……すっかり忘れてたのに。
瀬川さんは、私にピルを服用させて避妊具を使わない男だった。つまり隼人さんは、私は避妊具を使わないセックスが初めてじゃないってことを言ってるの?
なによそれ!ヤキモチなの?それにしたってなんかイヤ!
もうっ!バカなんじゃないの?
「隼人さんのバカッ!」
こんなに頭が良くて賢くて聡明な人に、こんな格好で「バカ」なんて言うのもどうかと思うけど……。
どんなに頭が良くてもバカになる時がある。隼人さんはヤキモチを妬くとたいていバカになる。
それでも私が隼人さんに面と向かってバカなんて言ったのは初めてだったから、隼人さんは驚いた顔をした。
「私、せっかく忘れてたのに!すっかり忘れてたのにっ!思い出しちゃったじゃないですか!すっごくイヤッ!不快!忘れたい!」
私がジタジタしたから、隼人さんは急に困った顔をした。
「……ごめん」
「いやっ!なんかヤダッ!」
なんか気持ちが収まらなくて、またジタジタ暴れた。そんな暴れる私の首筋に顔を埋めて、隼人さんは私をギュウッと抱き締めた。
隼人さんの体重がかかって息苦しいけど、これが心地良かったりして……。