嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

(2)ウサギが隠した卵を探せ!


 子どもが欲しいと思ってから、もう3ヶ月が過ぎてしまった。

 もしかしたらすぐに妊娠しちゃうかも、なんて思っていたのに、毎月きちんと生理がきてしまう。私、ちょっと簡単に考えていたのかな。

 授かり物だから、というのはわかるけれど、実は私に原因があるのかな?なんて思い悩んでしまったり……。

 子どもを作ることにあんなに抵抗があったくせに、いざ欲しいと思ったらなかなかできなくて悩むなんて、私ってわがままなのかな。

 子どもができますようにってお腹に手を当てて願っても、生理がくる度にガッカリため息、なんてことを何回か繰り返していたら、もう春が目前にきていた。

 ドイツに来てもうすぐ1年。長いような短いような1年だった。

 いろんなことがあったな……。

 友達ができて、料理教室に通って。家にじっと閉じこもっていたことが嘘のように、今はとっても楽しい海外生活を送れていると思う。

 ドイツ語も、ドイツの風習もだいぶわかってきたし。

 春になるとドイツではオースターン、いわゆるイースターがある。

 日本語では復活祭と訳されるこのイベントはドイツでは連休になることもあり、クリスマスに負けないくらい盛り上がる。

 イースターでは、色とりどりの卵やウサギの置物を飾る。

 イースターが近づくと、スーパーには毒々しいくらい原色の色で着色された卵が並ぶ。赤、青、黄、緑……。どうしてこんなどぎつい色にしてしまうんだろう??

 どうやら、各家庭で卵に模様を描いて飾り付けをするからこんな着色をしているらしい。それにしても、もう少し控えめな色にすればいいのに……。

 私も花ちゃんの家で、子どもたちと一緒にイースターエッグの模様を描くことになった。絵が下手な私でも、模様くらいならなんとかなるはず……。

 まずは卵の上と下に穴を開けて中身を出して殻をキレイに洗う。卵の中身は大量の玉子焼きになり、卵の殻が乾いたらお絵描き開始!

 彩花ちゃんは花ちゃんに似て、すごく器用。小学生なのに私よりずっと繊細な線で可愛い花柄を描いている。既に私より上手……。

 陸斗くんはまだ小さいから、というのもあるけど、絵心はいまいちの様子。なかなかうまく描けなくて、段々ご機嫌斜めになってきた。

 フフフッ!仲間、発見!

 そんなわけで、私と陸斗くんは模様を描くのではなく、色の付いたロウソクをポタポタ卵の殻に落として模様を付けることにした。
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