嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
突然彩花ちゃんがパッと走ったと思ったら、リビングのソファーにちょこんと座った大きなウサギのぬいぐるみにボフッと抱きついた。この間、阿久津課長が買ってきてくれたらしい。
冷たい感じの阿久津課長とウサギぬいぐるみなんて、全然似合わないけど……。阿久津課長がぬいぐるみを抱えて帰ってきた姿、ちょっと見てみたかったな。
ドイツのイースターでは、なぜかウサギが大活躍する。
オースターハーゼと呼ばれるイースターのウサギさんは卵を隠してしまう存在。だからイースター当日の朝は、ウサギがおうちのどこかに隠した卵を子どもたちが探す習わしがある。
イースターは十字架に架けられたキリストが復活したことを祝うお祭り。だから卵が誕生とか生命力の象徴っていうのは、なんとなくわかる。でも、なぜウサギが卵を隠してしまうのかはよくわからない。いたずらっ子だから??
ウサギのモチーフは街にあふれていて、イースターが近づくと、どぎつい色の卵と一緒にチョコレートで出来たウサギのお菓子がお店に並ぶようになる。
綺麗に彩ったイースターエッグやウサギの置物を飾り付けるのがドイツのイースターの楽しみ方らしい。店先や家の軒先はどこも色とりどりに飾り付けられている。
でも、そんなことより何より驚いたのは、キリスト教徒のドイツ人のみなさんはイースター前の1ヶ月以上もの期間、断食をする。つまり今はみなさん断食中。
断食と言っても、何も食べないのではなく、お肉を食べないという人が多い。中にはお菓子を食べないとかいう人もいるけれど。
だからカーニバルであんなにどんちゃん騒ぎをしていたのかな……?
カーニバル、ドイツ語読みだとカーネヴァル、日本語では謝肉祭。
カーニバルはイースターの断食前に数日間行われるお祭りで、とにかく肉三昧ビール三昧!仮装したり、顔にペイントしたりして街をねり歩く人が続出する。
食べるし飲むし大騒ぎだし。あれってきっと断食の前だから、肉を食べ溜めしていたのかもしれない。
私は、あの熱気あふれるノリについていけなかった。ドイツの人って真面目で倹約家な印象だったけれど、あんな大騒ぎをするなんて、正直ちょっとイメージが変わったかも。
カーニバルは火曜日で終わる。だから水曜日にはあんなにどんちゃん騒ぎをしたことなんてきれいサッパリ忘れたかのごとく、みなさんは静かな生活に戻っていく。