嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 帰ってきた隼人さんと一緒に夕食を食べていたら、隼人さんがじっと私を見つめてきた。

「雪菜、元気ないね。何かあった?」

 きっと見抜かれてしまうって思っていたけれど、やっぱり隼人さんにもバレてしまった。

「何かあったってわけじゃないんですけど」

「けど?」

「うん……」

 なんて言ったらいいのかな。ちょっと困って黙ってしまった。

「今日は阿久津さんのお宅に行ってきたんでしょ?」

「はい。イースター用に卵の飾りを一緒に作ってきました」

「絵、描いた?」

「いえ。ロウソクで模様を付けただけです」

「ホント?隠してない?見たいなあ」

 あ、もうっ!隼人さんったら、私の絵が下手だからってバカにしてるなっ!

「隠してませんっ!」

「今日作ったのはどこにあるの?」

「窓の所に飾ってみました」

 今日作ったイースターエッグは糸を通して、十字に組んだ木の骨組みに結び付けて、窓際に飾るオーナメントに仕上げた。

「お!綺麗じゃん。でも絵じゃないのかー、残念だな」

「絵は下手だからいいんです!」

 隼人さんはフッと笑った。

「それがいいんだけどね。……雪菜、阿久津さんの奥さんと喧嘩したってわけじゃなさそうだね?」

「え?……はい」

 隼人さん、私が言いにくそうにしていたから心配してくれた?

「じゃあ、どうしたの?」

「えーっと……」

「言いにくいこと?」

「……」

 なかなか子どもが出来ないから悩んでいる、なんて言いにくい。

 ……でも、言ってみようかな。隼人さん、なんて言うのかな?

「あ、あのねっ、隼人さん」

「うん」

「あの……、その、なんて言うか」

「うん」

「えっとね、なかなかね、子どもができないなあ、なんて思ったりしたのです」

 隼人さんは「ん?」っと首を傾げた。

「それで元気がなかったの?」

「……はい」

「そっか」

 隼人さんは少し考えるようにうつむいた。
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