嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 花ちゃんは声のトーンを落としてひそひそと言った。

「噂によると、排卵日当日よりもその2、3日前にエッチした方が出来やすいらしいよ?」

「へえ?」

 噂によると?どこをどう流れている噂?女の子同士で話していると、そういう会話もあるのかな?

「へえ?とかのんきなこと言ってるけどさ、雪菜わかってる?ちゃんとその日に旦那さんのこと、誘うんだよ?」

「……え?……はっ、はいっ?」

 意味を理解して、硬直して身を引いた。

 さ、誘う!?そ……そんなのムリだよっ!

「ちょっとー、なにうろたえてんの?」

「だ、だって……誘うなんて……」

「旦那さんを誘わないで誰を誘うのさ」

「……」

 そんなことを言ったら、それはそうだけど。

「あーっ!そっかそっか、雪菜は旦那さんに愛され過ぎちゃって、誘う必要もないのかな?」

「えっ?いや、そういうわけじゃなくて……」

「照れるな照れるなー!あっ!でも、毎日しすぎるのもよくないらしいよ?適度にためておいた方がいいんだってー」

「……そんなっ、毎日なんてこと、ないけど」

 さすがに毎日ってことはないけれど、私から誘ったことは一度もない。

 それに適度にためておくって何?それはどういうこと?適度って何?

 だいたい、恥ずかしくて誘うこともできないのに、ちょっとためておいてくださーい、なんて言えるわけがないよっ!

「そもそも私、誘うなんてできないし……」

「いやいや、そこはちゃんと誘おうよ!それにそういうのはやっぱり情熱的じゃないとね!」

 ん?ちょっと嫌な予感がしてきた。

「だからね、情熱的とかそういうことじゃなくて、誘わなくても何とかならないかなって話なんだけど?」

「何言ってんの?そんなの無理だよ!男なんて鈍感だし単純でその上繊細なんだから!まあね、雪菜は新婚さんだから、誘われたら旦那さんは絶対に喜ぶよ?それに、夫婦のコミュニケーションとしても、そこはやっぱり積極的に行かないとねー」

「……そう、言われても、ねえ……」

「そしたらさ、ちょっとベタなんだけど、してほしい日にエローい下着を着るのが合図ってのは、どお?」

「……」
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