嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
向かい合って晩ごはんを食べながら、隼人さんをチラッと見る。
今日はあんな色気のない下着を買ってきちゃったけど、少しくらいは冒険してもよかったのかな。本当は隼人さんもそういうの、好きなんだよね?
……でも、やっぱり恥ずかしいからムリ。
なんて一人で悶々としていたら、隼人さんが食事の手を止めた。
「どうしたの?」
あ、なんか伝わっちゃった?
「いっ、いえ……」
「料理教室?」
「……」
「なんかあったの?」
「何かあったというわけでは……」
「じゃあ、何?」
エロい下着を買わなかったことをどうこう考えていた、なんて言えるわけがなく。
「……えーと」
「最近の雪菜はわかりやすくていいな」
ですよね?そうですよね?隼人さんみたいな賢い人にかかったら、私の心の内などお見通しですよね?
「……そうそうっ!斎藤支部長は日本に戻られるそうですね?みんなで話してたんです!」
隼人さんが秘密裏に進めたんじゃないかと疑っていた案件を咄嗟に思い出した。
「よく知ってるじゃん」
「レベッカさんから聞いたんです。まさか隼人さん、裏で糸を引いたりしていないですよね?」
隼人さんは目を細めた。
「雪菜……、俺のことすっげー悪者だと思ってるだろ?」
「いえっ!そ、そういうわけじゃなくて……、恨みを買わないか心配なのです」
「あははっ、大丈夫だよ。そもそも、支部長の人事に俺は口出しなんてできないからさ。……まあ、情報くらいは流せるけど」
「……」
ニヤッなんて笑ってるけれど、そういう行為を裏で糸を引くと言うのでは?
「ちなみに阿部は俺が意図的に帰国させることにした」
ん?誰だっけ。
「阿部……さん?」
思い出せないでいる私の様子に、まんざらでもない顔をした隼人さんを見て、ハタと思い出した。
もしかして、パーティーの時に手を握ってきたあの馴れ馴れしい人のこと?また忘れてた。
そんなことより隼人さん、まさかまだヤキモチ妬いてたの?それ、ちょっとびっくり。
「アイツ、ことある毎に雪菜のこと聞いてきてウザいんだよ」
「そう、なんですか?」
「だから飛ばした」
「……」
隼人さん、そんな個人的な感情で阿部さんのこと飛ばしたの?そんなことして大丈夫?