嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
隼人さんとイースターファイアを見に行った翌日。目が覚めると、イースターの朝はよく晴れた気持ちのいい朝だった。
布団の中で体温を測ってからうーんと伸びをすると、隼人さんの手が伸びてきて腰に絡まった。
「んー?雪菜……」
隼人さん、寝ぼけているのかな?
そんなことを思う間もなく、いきなり引き寄せられて体がのしかかってきた。
あっ、重い!非常に重い。これは絶対に寝ぼけてるっ。
「あっ、あの、隼人さんっ」
「……」
ゆさゆさ揺すったら、首筋に寄せた唇がそっと撫でるから思わず身を縮めた。そんなことするなんて、本当は起きているの?
重くのしかかる体から逃れようともがいても全然抜け出せない。でも私の動きで目が覚めてきたのか、隼人さんはやっと体を起こしてくれた。
「あの、隼人さんっ。重い、です」
「あ、れ?……ああ、ごめん」
隼人さんは体を横にずらして私を抱きしめたまましばらく瞬きをしていた。
「あ!そうだっ!思い出した!」
急に目が覚めたらしく、隼人さんは大きな声を出した。
「どうしたんですか?」
「雪菜!イースターバニーのプレゼントがあるんだ。探してみて!」
「え?」
イースターバニーのプレゼント?隼人さん、プレゼントを隠したの?いつの間にそんなことしたんだろう。
ドイツではイースターの朝にウサギさんが隠した卵やプレゼントを探す、子どもたちの風習がある。
もちろんそんなウサギさんは存在しなくて、前日のうちに両親が卵やプレゼントを隠しておくのである。
隼人さんがそんなサプライズをするなんて!私は子どもじゃないけれど、なんだかとっても楽しそう。
「でもね雪菜、見つけても開けちゃだめだよ」
「えっ!どうしてですか?」
「夜までのお楽しみ」
「……ん?」
夜までのお楽しみ、だなんて隼人さん、どういう意味?
一抹の不安は覚えたけれど、まあいっか。
うーん、隼人さんが隠しそうな場所はどこだろう?ウロウロと探す私をニヤニヤと嬉しそうに見守る隼人さん。
なによそれ?中身はいったい何なの?
結局プレゼントはものの数分で見つかった。ソファーの下に不自然に箱が置いてあるんだもん。
ソファーの下から出てきたのは綺麗にラッピングされて大きなリボンがかけられた箱。すごく軽い。振るとカサカサと音がする。
これは……なあに?
教えてほしくて見上げたけれど、隼人さんはニヤリとするだけ。うーん、気になる。