嫌いになりたい
「ま、いいや!この話は終わり!」
しばしの沈黙のあとで、私は既に暗くなっていたパソコンを完全にシャットダウンさせる。
なんだかんだで2限終了まで残り20分。
学食が混む前に移動しないとランチ戦争には絶対に勝てない。
「そういえばさ、22日の忘年会&クリスマス&理絵のバースデーパーティ、バイト先どうだって?」
「あ、うん、予約取れた。VIPルーム空けといてくれるって」
「うわっ、すごいな!じゃあみんなに連絡しとく」
努めて明るく振舞って、早速ゼミ生8人へのメッセージを作成する。
「柊汰くんも呼べば?」
「意味わかんない」
「人数多い方が楽しいし」
「部外者呼んでも楽しくない。じゃあ、彼氏呼ぶ?」
「呼んでもいいなら呼ぶよ?」
「理絵に怒られると思うけどそれでもいいの?」
「それはダメだ。殺される」
戻りかけた話が大きく逸れたことにホッと一息つきながら、送信ボタンを押す。
『素直じゃないなぁ』なんて苑実の声は聞こえなかった振りをした。