嫌いになりたい
「ってことは、選り取り見取りってやつ?」
突然、柊汰の肩に腕が回された。
「三池、重い」
「田戸倉さんだよね?」
その柊汰を無視して、私に爽やかな笑顔を向けてくる。
一瞬身構えたけれど、柊汰がいる以上、邪険には扱えない。
「そうですけど」
「柊汰がいっつも話してますよ」
私の話なんかして何が楽しいんだろう。
第一あなたは誰ですか。(残念ながら記憶の引き出しにはいません)
「そうですか」
「三池、重いってば。離せ」
「悪い悪い。ってか、田戸倉さんたちもこれから二次会ですか?」
「そうですよ!」
と元気よく答えたのはまかり間違っても私ではなく。
「理絵?」
「よかったら一緒に二次会しませんか!?」
THE・積極的。
今の理絵に怖いものはない。
「いいですね!」
「やったー!みんな、二次会けって~い!」
「理絵ってば強引」
「大人数の方が楽しいでしょ?」
背後の男性陣にも笑顔を振り撒く理絵とは正反対に、数少ない女性陣がかすかに顔をしかめた気がした。
こちら側に男性の一人や二人いたら、彼女たちは満面の笑みで迎えてくれたのだろうに。