嫌いになりたい
適当に話をしながら、乗り換えなしで5駅。
快速なら3駅というラッキーな環境に私達の通う大学はある。
重い足取りの学生の後で正門をくぐる。
死ぬ気で勉強した結果、ストレートで合格できた。
これまで1回も講義を休んだことはない。
「じゃ」
「あ。茗ちゃん、今日はバイト?」
「そうだけど」
「そっか、頑張ってね」
そう言って笑顔で手を振る柊汰は、別棟へと私が去るまでそこから一歩も動かない。
なんでやねん。
そう突っ込みたくなる気持ちをなんとか抑えて、一度も振り返らず講義へと向かった。