嫌いになりたい
窓の外では騒がしい声。
2限開始の幸運な連中だろう。
羨ましくないわけじゃないけど、近所迷惑になるから程々にすればいいと思う。
目の前が静かになったことを確認して、真っ暗になっていたパソコンの休憩を強制終了させる。
書きかけのレポートが再登場、続きに頭を悩ませる。
それでも自宅でやるよりは断然捗る。
もちろん居心地のいい空間だけど、誘惑が多すぎて課題を進めるには適さない。
この古河研究室では、時間帯は決められているものの基本的に自由に出入り可能。
研究室の鍵を貰えるのはゼミ長の特権だ。
使いたいときは私に言うだけという至ってシンプルなシステム。
先生は講義のある木曜と金曜しか大学に来ない省エネ教授だし、研究室に誰がいようが全く気にならない大らかな性格。
たまに雑用を押しつけられることもあるけど、こうやって居場所を与えてくれることに感謝しなくちゃいけない。
3年、4年の先輩とこの研究室に居合わせることもも少なくないけれど、むしろ有意義な情報をゲットできて助かっている。
だけど、水曜2限は集まっても2年のゼミ生くらいで。
親友・木立苑実もその一人である。