ラスト・バレンタイン
学校中が浮き足立つ様な雰囲気の中、ドサッと乱暴に鞄を机に置いた。
雪でも散らついてきそうな、どんよりとした薄灰色の雲が、空を覆っている。
「おー佐伯、はよー」
「ん、おはよ」
声を掛けながら席に着くクラスメイトに、適当に生返事をしながら、俺は冴えない目を擦っていた。
夜中まで漫画を読んでいたせいか、肩も頭も重い。
・・・・・・眠い。
今布団を渡されたら、即効で眠れそうなものだった。
いつになく、ザワザワと騒がしい教室。
ソワソワと周りを気にする女子と、落ち着き無くひそひそと喋る男子共。