ラスト・バレンタイン
ふるふると首を振りながら、限界だ、と机に突っ伏した。
しばらく話しかけられていたが、適当な返事に飽きたのだろう。
のどかな光に包まれ、温かなストーブの空気に誘われ、ウトウトと――――
しだした、瞬間だった。
カサッと、だらけた右手に何かが当たる。
顔だけ上げて、そっと折りたたまれたルーズリーフを開けた。
・・・・・目が霞んでよく見えなかったが、それでもやっとの事で読みきる。
『佐伯君
今日の放課後、渡したい物があります。
授業が終わったら、昇降口で待ってて下さい。
羽月』