【完結】セ・ン・セ・イ
「ま、無理して家庭教師に戻ることもないか。辞めてからも連絡取れてるみたいだし」
木嶋はありがたいことに、深い突っ込みもなく引いてくれた。
「そういや、お前は? アイツと連絡取ってんの?」
ふと気になったことを聞いてみる。
すると彼女は、パウダーまみれの芋をひと掴みペーパーに載せて俺の前へ寄越した。
「……何コレ」
「気持ちばかりのお礼です」
えへへ、とはにかんだように笑う木嶋に、俺は少しだけ、隣にいた裕也は『どん』が付くくらい引いて顔を見合わせた。
「進藤くんが言ってくれたんでしょ、私が心配してたって。朱莉ちゃんの方から連絡くれたんだよぉ」
元気そうだった、と安心したようにニコニコしながら、ついでと言わんばかり、裕也の方へも数本ポテトを配る。
早速それを摘まみながら、
「じゃあよ、またたまにはサークルに朱莉ちゃん連れて来いよ!」
とノンキに提案をしてくる裕也に、俺も木嶋も苦笑した。
「あのね白石くん、今までの話ちゃんと聞いてた? 朱莉ちゃん、今からが大変になるの」
ポテトの先端で裕也を指しながら、木嶋が肩を竦める。
「まあ……でも、あいつも来たがるだろうし。全部片付いて落ち着いてから、かな」
それがいつになるかは、誰にも分からないのだけれど。
気が遠くなるほど先かもしれないその未来を思って、ぼんやりと空間に視線を彷徨わせる。
「暗く考えるなよ! 気分転換は必要だぜ!」
醤油バターの粉にまみれたままの手でバシバシと遠慮なく背中を叩かれ、つい顔をしかめた。
汚れたかも知れない、少し痛みを帯びた背中を気にしながら、思う。
コイツの能天気さに、俺はよくよく救われている。
木嶋はありがたいことに、深い突っ込みもなく引いてくれた。
「そういや、お前は? アイツと連絡取ってんの?」
ふと気になったことを聞いてみる。
すると彼女は、パウダーまみれの芋をひと掴みペーパーに載せて俺の前へ寄越した。
「……何コレ」
「気持ちばかりのお礼です」
えへへ、とはにかんだように笑う木嶋に、俺は少しだけ、隣にいた裕也は『どん』が付くくらい引いて顔を見合わせた。
「進藤くんが言ってくれたんでしょ、私が心配してたって。朱莉ちゃんの方から連絡くれたんだよぉ」
元気そうだった、と安心したようにニコニコしながら、ついでと言わんばかり、裕也の方へも数本ポテトを配る。
早速それを摘まみながら、
「じゃあよ、またたまにはサークルに朱莉ちゃん連れて来いよ!」
とノンキに提案をしてくる裕也に、俺も木嶋も苦笑した。
「あのね白石くん、今までの話ちゃんと聞いてた? 朱莉ちゃん、今からが大変になるの」
ポテトの先端で裕也を指しながら、木嶋が肩を竦める。
「まあ……でも、あいつも来たがるだろうし。全部片付いて落ち着いてから、かな」
それがいつになるかは、誰にも分からないのだけれど。
気が遠くなるほど先かもしれないその未来を思って、ぼんやりと空間に視線を彷徨わせる。
「暗く考えるなよ! 気分転換は必要だぜ!」
醤油バターの粉にまみれたままの手でバシバシと遠慮なく背中を叩かれ、つい顔をしかめた。
汚れたかも知れない、少し痛みを帯びた背中を気にしながら、思う。
コイツの能天気さに、俺はよくよく救われている。