【完結】セ・ン・セ・イ
チーム分けするぞ、と声がかかり、俺たちはサークル運営の中心にいる先輩たちの方へと集合した。


男女混合で行われるフットサルはガチの体育会系には物足りないくらいだろうが俺にはちょうど良く、スポーツと呼ぶよりはほんの運動不足解消程度の軽い球遊びである。

サークル長(俺たちはキャップと呼んでいる)に至ってはフットサルよりもその後の飲みの方がメインディッシュと思っているくらいの、軽いノリのサークルなのだ。

男女比もほぼ半々で、楽しむことを重視したサークルだけに部外者を呼び入れることにもさほど抵抗がない。


「じゃー、全員でグーパー」

「またっすか! キャップ適当すぎー!」

キャップの緩いノリに笑いが起こった。

適当とツッコんでおきながらも、俺たちはその『適当』が好きでここにいる。


サークル活動なんて好き好きで、ガチでスポーツしたいヤツは公認の運動部に入ればいいし、就活に役立ちそうなボランティアサークルやら専門的な勉強に精を出す研究会やらただの飲みサークルやら多種多様で、もちろん入る入らないも個人の自由だ。

その中で、適度な運動を適当に楽しむ緩い雰囲気のこのサークルを選んだ仲間とはどことなく波長が合って、居心地が良い。


――瀬戸朱莉がこの波長を良しとするかどうかは彼女の好みの問題である。

数ある選択肢の中のひとつとして、この雰囲気を見せてやれればそれでいい。


個人に与えられた果てしない幅の選択の自由も、大学の魅力のひとつだ。
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