【完結】セ・ン・セ・イ
「はっ? クビになった!?」
裕也の驚きに満ちたその声はこだまするんじゃないかと思われるくらいの音量で、実際若い年齢層の客で賑わう午後のファミレス店内に響き渡った。
「……クビじゃねぇ」
生徒側の家の都合によりしばらく休み、だ。
朱莉から届いた初めてのメールで言い渡された実質無期限の休暇はだが、クビと考えても差し支えなさそうだった。
あの後どうなったのか、結局あの家にどんな問題が隠されていたのか、詳しいことは何も知らされていない。
「何やらかしたの、お前」
「――別に」
分からないことは、話せない。
仮に事情が分かったとして、簡単に吹聴できるような話かどうかはまた別の問題だ。
「じゃ、週末の花火、朱莉ちゃん来れないんだ」
実に残念そうに裕也はそう呟き、肩を落とす。
まさかコイツ、本気で朱莉を狙っていたわけじゃないだろうな。
一瞬芽生えた微かな殺意がまるで恋敵に対する嫉妬心のように思えて、そんな発想をほんの僅かでも持った自分にも苛立った。
「なあ、アイツから何か聞いてないか」
と、頭を切り替えるべく話を振った先は、メロンソーダに浮かぶ氷をストローでつつく木嶋。
朱莉と仲の良かった木嶋なら、あるいは。
だが彼女は、目線だけ斜め上に動かしてしばし眉を寄せた後に、諦めたように肩を竦めた。
「何も。ってか、メールの最後、なんか中途半端なまんま連絡途切れちゃって、そのままなんだよね」
裕也の驚きに満ちたその声はこだまするんじゃないかと思われるくらいの音量で、実際若い年齢層の客で賑わう午後のファミレス店内に響き渡った。
「……クビじゃねぇ」
生徒側の家の都合によりしばらく休み、だ。
朱莉から届いた初めてのメールで言い渡された実質無期限の休暇はだが、クビと考えても差し支えなさそうだった。
あの後どうなったのか、結局あの家にどんな問題が隠されていたのか、詳しいことは何も知らされていない。
「何やらかしたの、お前」
「――別に」
分からないことは、話せない。
仮に事情が分かったとして、簡単に吹聴できるような話かどうかはまた別の問題だ。
「じゃ、週末の花火、朱莉ちゃん来れないんだ」
実に残念そうに裕也はそう呟き、肩を落とす。
まさかコイツ、本気で朱莉を狙っていたわけじゃないだろうな。
一瞬芽生えた微かな殺意がまるで恋敵に対する嫉妬心のように思えて、そんな発想をほんの僅かでも持った自分にも苛立った。
「なあ、アイツから何か聞いてないか」
と、頭を切り替えるべく話を振った先は、メロンソーダに浮かぶ氷をストローでつつく木嶋。
朱莉と仲の良かった木嶋なら、あるいは。
だが彼女は、目線だけ斜め上に動かしてしばし眉を寄せた後に、諦めたように肩を竦めた。
「何も。ってか、メールの最後、なんか中途半端なまんま連絡途切れちゃって、そのままなんだよね」