【完結】セ・ン・セ・イ
その後目を覚ました木嶋と裕也が、昨夜の話をしてくれた。
どうやら彼らは結論を出した上に、これも酒の勢いが手伝ったのか、なんと木嶋は真相を本人に――つまり瀬戸朱莉に、確認までしていたのだ。
ちなみにそのメールのやり取りについては本人がすっかり記憶を飛ばしていて、たまたま全く無関係の相手からメールが来て携帯を確認した時になってようやく気付いたのだから笑えない。
『あかりちゃをの妹さんづてもしかしたもうなくなづてる!』
酔っぱらった木嶋が朱莉に送りつけたメールは、誤変換がひどく暗号文のようだった。
だが瀬戸朱莉は、その暗号を解読したのだろう。
そして間違いだらけの文面には触れずに、送信時刻は夜中だったにも関わらず、直後にきちんと返信を寄越していた。
『騙していたみたいでごめんなさい。そうです、妹は2年前に死にました』
「……」
一夜明け、酒の抜けた素面の頭に、やらかした感が拭えない俺も木嶋も頭を抱えた。
あくまでも他人事というスタンスを保っていた裕也でさえ、気まずそうに黙り込んでいる。
木嶋から聞いた『瀬戸朱莉の妹』像は、家で猫を被っている時の朱莉そのものだった。
母親の壊れかけた精神を繋ぎとめるために、彼女は、自分を棄てたのだ。
瀬戸朱莉という1人の人間を殺して、代わりに、死んでしまった彼女の妹を甦らせた。
「どうしよう私、すごく……」
酷いことを、と、木嶋は言葉を詰まらせる。
「しょうがねえよ、知らなかったんだし」
と裕也が慰める。
俺は木嶋に対して、どうすればいいとか仕方がないとか言ってやることが出来なかった。
俺自身が取り返しのつかないところを踏み荒らしていて、俺自身がどうしたら良いか迷子だったからだ。
どうやら彼らは結論を出した上に、これも酒の勢いが手伝ったのか、なんと木嶋は真相を本人に――つまり瀬戸朱莉に、確認までしていたのだ。
ちなみにそのメールのやり取りについては本人がすっかり記憶を飛ばしていて、たまたま全く無関係の相手からメールが来て携帯を確認した時になってようやく気付いたのだから笑えない。
『あかりちゃをの妹さんづてもしかしたもうなくなづてる!』
酔っぱらった木嶋が朱莉に送りつけたメールは、誤変換がひどく暗号文のようだった。
だが瀬戸朱莉は、その暗号を解読したのだろう。
そして間違いだらけの文面には触れずに、送信時刻は夜中だったにも関わらず、直後にきちんと返信を寄越していた。
『騙していたみたいでごめんなさい。そうです、妹は2年前に死にました』
「……」
一夜明け、酒の抜けた素面の頭に、やらかした感が拭えない俺も木嶋も頭を抱えた。
あくまでも他人事というスタンスを保っていた裕也でさえ、気まずそうに黙り込んでいる。
木嶋から聞いた『瀬戸朱莉の妹』像は、家で猫を被っている時の朱莉そのものだった。
母親の壊れかけた精神を繋ぎとめるために、彼女は、自分を棄てたのだ。
瀬戸朱莉という1人の人間を殺して、代わりに、死んでしまった彼女の妹を甦らせた。
「どうしよう私、すごく……」
酷いことを、と、木嶋は言葉を詰まらせる。
「しょうがねえよ、知らなかったんだし」
と裕也が慰める。
俺は木嶋に対して、どうすればいいとか仕方がないとか言ってやることが出来なかった。
俺自身が取り返しのつかないところを踏み荒らしていて、俺自身がどうしたら良いか迷子だったからだ。