ESORA PINK《短》
ちなみに、廉が言う緩い部活とは美術部のことだ。
私が三年生のときに新入部員として入ってきたのが廉達だった。

廉の言うとおり緩い部活で、創作活動よりも世間話をすることに力を入れていたくらいだ。

まあだからこそ、卒業して何年も経つというのに付き合いがあるのだろうけれど。


「酷いなあ。廉が女の子に追い掛け回されているときに助けてあげたのは誰でしたっけ?」

そして、付き合いが長い分、本人が嫌がるエピソードも知っている。

廉の顔が苦虫を噛み潰したような顔で私を見た。

もちろん、このとき廉の彼女のふりをして助けたのは私だ。

会話を蒸し返したのは廉なんだからね。

私はそんな言葉を込めて、最高の笑顔を廉にプレゼントした。
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