ESORA PINK《短》
「俺は自己中で自尊心の高い淫乱女だと思ってるよ」

このまま気持ち良く眠れるかも。

そんなことを考えながら上機嫌にグラスに口を付けた私に、水を差す声が響く。

その声の主はもちろん、それまで会話に全然参加してこなかった廉だった。

横に座る廉を見るといつの間にか煙草は消されていて、その手には小さな白ワインのボトルが握られている。

どうやら行儀悪くラッパ飲みをしているらしい。

「……それ、褒めてるの?」

いい男は行儀の悪いことをしても絵になるということを再確認しつつ、念のため、そう聞いてみた。

すると廉は珍しく目を大きく見開き私をじっと見る。

「褒めてると思うのか?」

そして驚いたような口調で、私のことを馬鹿にした。

思わず加減をするのを忘れて、手の中にあるグラスを握り締めてしまう。

華奢なワイングラスではなく丈夫なロックグラスで良かったと、心の隅で安堵した。
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