ESORA PINK《短》
「寝たら抜けたのよ」

私はアルコールが抜けていくスピードが異様なほど早い。十五分も寝れば完全に酔いはさめてしまう。

時計を見ると日付けが変わっているので、多分、三十分くらい廉を枕にしていたはずだ。

「廉も飲めば?」

すっかり酔いの冷めた目で廉を見ると、廉はあまり飲んでいない様子だった。

本人は気付いていないだろうけれど、廉は酔うと目が潤む。

今の廉の感じだと多分、小さな白ワインのボトルしか飲んでいないはずだ。

未使用だと思われるグラスにブランデーを半分ほど注いで、廉に手渡す。

私の飲みっぷりにまだ呆れていたらしい廉はなにも言わずにそのグラスを受け取り、口を付けた。
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