ESORA PINK《短》
「そのままの意味だけど」

出来ればさらっと流してほしい。
ここから先の会話はあまりしたくない。

そんな私の気持ちを無視するように、廉が左手首を掴んできた。

その力が想像よりもずっと強くて、痛みに思わず顔を顰める。

「だから、どういう意味だって聞いてんだよ」

この強さはわざとじゃない。

廉は私のことがどれだけ嫌いでも、力でねじ伏せようとしたことはないのだから。

でもだからこそ、廉の必死さが伝わってきて私まで胸が苦しくなってくる。

「ちょっと。痛いよ」

わざとじゃないとわかってるけれど、もう我慢出来ない。

そう言えば廉はやっと自分がどれだけの力を込めて私の手首を握っていたのか気付いたらしく、少しだけ力を緩めてくれた。
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