ESORA PINK《短》
それでもまだ、廉の手は私から離れていかない。

……仕方がない。
話をふったのは私なのだから、私の予想を廉に話してみよう。

私は覚悟を決めて、廉の戸惑っている瞳をじっと見つめた。


「廉は信じられないと思うけど、私、渉のこと本当に好きだったんだよね」

廉が私の片思いに不信感を抱いていることを、私は知っている。

彼氏こそつくらなかったけれど、遊んだ男や寝た男は両手では足りないほどいるのだからそれも仕方ないけれど。

でも、それでも私は渉のことが本当に好きだ。

この気持ちには一つの偽りもないと胸を張って言える。

だから、こそ。

「だからさ……私以上に渉のことが好きで、私以上に長い間、渉のことが好きな廉が辛くないわけないでしょ?」

今の廉の気持ちは、痛いほどわかるのだ。
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