ESORA PINK《短》
廉は小さな笑みをこぼしたあと、まるで力が抜けたかのようにソファにもたれかかった。

「お前と話してると俺が馬鹿みたいだな」

そして小さくそんな言葉を落としていく。

その言葉に、少しは罪悪感を減らすことが出来たのかな、と思った。

廉の性格からして、これからも女の子を利用したことに対して反省はするのかもしれないけれど。

もう自分で自分を傷付けるような言い方はしないだろう。


「廉は馬鹿じゃないよ。私の頭が良過ぎるだけ」

だけど、雰囲気をいつも通りに戻そうと思って伝えたこの言葉は余計だったらしい。

機嫌が良さげだった廉の顔は一瞬で、いつも私に見せている不機嫌な顔へと戻ってしまった。

いつも通りに振る舞おうとした先輩の心遣いを、ほんの少しくらい理解してくれたっていいのに。

私は察しの悪い廉に、心の中で文句を言った。
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