ESORA PINK《短》
「本当に嫌な女だな」

そう言いながら睨んでくる廉。

それは私の好きな表情なので、いつも通り楽しもうかと思ったのだけれど。
今そんなことをすれば、廉は本当に怒ってしまうだろう。

「はいはい。それより飲もうよ。廉はなにが飲みたい?」

私は睨んでくる廉から泣く泣く視線を逸らして、テーブルの上にある飲み物をチェックした。

飲みかけのブランデーと栓を開けていないワインが赤と白、一本ずつ。

廉はなんでも飲めるけれど、洋酒の類はあまり飲まないはずだ。


「……姫希(ヒメキ)」

ビールやチューハイのほうがいいなら、冷蔵庫から取ってきてあげようかな。

そう考えていると突然、廉が私のことを本当の名前で呼んだ。
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