ESORA PINK《短》
落ち着け、落ち着け、落ち着け。

そう自分に言い聞かせてみても、この異常事態に頭が全く付いていかずにソファの端で縮こまっていると。

「その誘い、俺が乗ってもいいよな?」

廉が私の左手を取り、手首の内側に唇を落としながら、そう呟く。

そして上目遣いに私を見るその瞳には、紛れもなく本気の色が浮かんでいた。

その、本気を映しだす瞳に。
私の体は、正直に反応してしまった。

「……私、女なんだけど」

駄目だと思っているのに、自然と体から力が抜けた。
右足がソファから落ちる。

その隙を狙っていたかのように廉が距離を詰めてきた。

私の体の間に廉がいる。

それが異常なことだとわかっていても、私は廉を突き飛ばすことが出来なかった。
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